望月の言葉に反応して体が揺れ、傾いたトレーから食器が落ちそうになった。


「うぉっ!」


オレは慌てて体勢を立て直す。

動揺しすぎだっつの。


「ば……バレてた?」


「バレバレやっちゅうねん」


ははは……。

もう笑うしかない。


「マジで……?」


望月はクセ毛みたいな緩めのパーマヘアを揺らしながらうんうんと首を縦に振る。


「みーんなわかってんで。多分気づいてへんのは、当の本人だけちゃう?」


そう言って、厨房の奥を指差す。

そこには、いつものごとく忙しそうに働くサキがいた。


「だよなぁ……」


オレは深いため息を吐き出した。


「だいたい、普通気づくだろ? アイツなんであんな鈍感なんだよ。ムカツク……」


「まぁまぁまぁ。だから……合コンしよ?」


「は? なんでそれで合コンなわけ?」


「だぁかぁらぁ……」



望月はオレに顔を近づけると、声を潜めて耳打ちした。