とりあえず誘われたら、どんな合コンにも参加していた。

女の子達とのその場限りの会話は楽しかったし、あわよくばちょっとだけ良い関係にもなれた。

特定の彼女を作るよりも、恋愛の楽しい部分だけをかいつまんで渡り歩くのは、オレの性に合ってた。


ヤキモチ妬いたり妬かれたり……

束縛なんてもってのほか。

面倒なことはごめんだった。


いわゆるおいしいとこ取りで恋を楽しんでいたんだ。

ちなみに望月もオレと似たようなタイプだ。

オレ達はことあるごとに合コンばっかやってた。


だけど、それは過去の話。


オレは今マジで恋してる。

相手はマシェリで働くパティシエの天使早紀(アマツカ・サキ)。

彼女がオレにとって特別な存在になって……かれこれ三ヶ月。

それなりにアピールしてるつもりなんだけど、オレの気持ちになんてまるで気づきやしない。

彼女は超が三回つくほどの鈍感。

その天然ぶりといえば、オリンピック級だ。しかも金メダル間違いなし。
(よくわからん、例えだが…)


まぁようするに、オレは生まれて初めて片想いっていうのを経験してるってわけ。


「悪いけど、他あたってくれ。いつまでもチャラチャラしてらんねぇし。お前もいい加減そういうのから卒業したら?」


なんて軽く嫌味を言いながら、ケーキ皿やティーカップをトレーに乗せる。

だけど余裕を持っていたのもそこまでだった。



「マヒロ君……変わったなぁ。サキちゃんに惚れてから」


――ガチャンッ