その数十分後、電車に揺られながら頭を抱えるオレがいた。


うっ……朝陽が眩しい。

欲望の固まり、薄汚れた獣……オレを照らすな、朝陽よ。


電車の揺れにシンクロするみたいに、頭がガンガンする。

二日酔いなんて久しぶりだ。


オレはまだ酒の抜け切れない頭で昨夜……いや最近の出来事を思い返す。


そもそもの発端は一週間ほど前のこと。

それは同じバイト仲間の望月からもたらされた提案だった。




「なぁなぁ。マヒロ君」


客の去ったテーブルを片付けているオレに望月が声をかけてきた。


「何?」


「合コンせーへん?」


「無理。興味ねぇし」


「マジで言ってんの?」


望月は目を丸くして大袈裟に驚く。

それもそのはず。

ちょっと前までオレは、“合コンキング”なんていう、あまり誉められたものじゃない異名をいただいていたのだ。