「あ。はよっす」


あまりにもごく自然に声をかけられたもんだから、ついつられてしまう。

まるでバイト先でいつもする挨拶のように、軽く頭を下げた。

だけどそれっきりお互い何も口にしない。

ただニコニコと微笑む彼女とそれにつられてとりあえず愛想笑いを浮かべるオレ。


間抜けすぎる時間だけが過ぎていく。

カチカチと壁掛け時計の音を響かせながら……。


――カチ、カチ、カチ……

――カチ、カチ、カチ……



「……じゃなくてっ!」


あっぶね。

何、和んじゃってんの!


「そうじゃなくて! オレら、昨日……」


と言いかけたところで、オレの頭からバサッと色んなものが降りかかった。


「とりあえず服着れば?」