「や……」


あたしはドンドンとマヒロさんの胸をたたいて、唇から逃れた。


「もぉ。今度は何のキスですかぁああああ?」


ひどいよぉ……。

いきなりこんなに激しくするなんて。

心の準備もできてないから、まだ心臓がバクバクと言ってるよぉ……。


涙目で訴えるあたしにマヒロさんはしれっと答えた。


「“誕生日おめでとう”。これはオレからのお祝いキス」


「はぁ? 何言ってんですか? こんなのいりませんよっ!」


あたしはプイッと顔を背けた。

耳まで真っ赤になっている顔をマヒロさんに見られているのが恥ずかしくて……。


「じゃ、もう一回サキからキスして返す?」


「なっ……」


ニヤニヤと笑うマヒロさんにあたしは、雪を投げつけた。


もぉ。

やっぱりマヒロさんは悪魔だよぉ。


悪魔で意地悪で……人のことからかってばっかりで……。


でもなぜだろう。

あたし、この人から目が離せないんだ。