「え……? だから法事なんですよね?」


マヒロさんはガックリ肩を落とすとはぁ…とため息をついた。


そしてあたしに背を向けると

「なんでわかんねぇかなぁ……そんな法事あるわけねぇだろ。どんだけ天然なんだよ……」

とかブツブツ言いながらまた歩き出した。


「待ってくださいよっ」


あたしも慌てて後を追う。



「いったいどこに行くんですか? 行き先ぐらい教えてくださいよぉ」


「さぁね」


マヒロさんはくるりと顔だけこっちに向けた。

まるでいたずらっ子みたいに微笑んで。


「行き先は決めてない」


「はい?」




「雪を見つけに行くんだ」