病院を出るとまだ外は闇に包まれていた。


雪はもう止んでいた。

やっぱり大阪ではつもるほどの雪にはならないんだなぁ。


時刻は早朝5時を回ったところ。

まだ目覚めていない街は静かで、コンビニの明かりがついているのがやけに眩しかった。


「マヒロさん……あたし、なんか感動しちゃいました」


「ああ。そだな」


あたし達は駅までの道を歩きながら他愛ない話をし続けていた。



「もう始発動き出す頃だな」


ここからは二人とも電車で帰らなければならなかった。


「そうですね。帰ったらゆっくりお風呂に浸かろうっと。あったまりたいよぉ」


「一緒に入るか?」


「もう、何言ってるんですか!」


ニヤニヤ笑っているマヒロさんの肩をピシピシと叩いた。



駅につくとマヒロさんは「オレが切符買うから」といって一人で券売機の前に立つ。


そして「このへんでいいかな……」なんて路線図を眺めて呟いてからボタンを押した。


「はい」


マヒロさんは一枚の切符をあたしに差し出す。


「え……? これ……?」