――――――――-
―――――……


「おつかれっしたー」


バイトを終え、店の外に出る。

歩きながら、とりあえずいつものクセでメールチェックをすると、さっき店でキスしたレイコさんからメールが届いていた。


――――――――-
From レイコ

今日一緒にいた人とは何でもないの。

あんまりしつこく誘うから会っただけ。

マヒロ君、今夜もうちに来てね。
待ってる

――――――――-



行くわけねっつーの。

別に彼女に彼氏がいることはどうでもいいんだけど、面倒なことに巻き込まれるのはごめんだ。


「ハイ。消去……っと」


躊躇することもなく、即アドレスを削除。



「さっみー!」


なんて叫ばずにはいられない。

マジで冬が苦手だ。

この凍てつくような寒さも、ツンと鼻につく空気も……。

雪でも降るんじゃないかとふと空を見上げてみたが、この季節独特の澄み切った空に、キラキラと瞬く星があるだけだった。


ちぇ……。


こんな夜は、ナゼかちょっと寂しくなる。

この世界に自分一人だけポツンと取り残されたような……そんな気分になるんだ。

なんか人肌恋しいな……。

誰か温めてよ……。



なんて考えてぐるぐるに巻いたマフラーに顔の半分ぐらい隠しながら歩いていたら、前方から女の声がした。