「ぶはっ……」


本日三回目のコーヒーの吹きこぼし。


「ちょ……サキちゃん大丈夫?」


ユミコさんが慌ててまたティッシュを差し出してくれた。


「あうぅうううう」


あたしはもう涙目になって、こぼしたコーヒーを拭った。

思わず自分の胸を確認して、余計涙目になった。

ううっ……。



「もう、あんたらいい加減にしぃや!」


ユミコさんがソファから立ち上がって二人を睨む。



「そういう話はここでせんとって! ほらっ、サキちゃんが困ってるやん」


「ほぇ? べべべべべつに、あたっあたしは……困ってなんか……。全然平気ですってばっ」


「いや、サキちゃん明らかにテンパってんで」


望月君がケラケラと笑っている。


「ふあーい。すみませーん。ほらっ、いくぞ」


マヒロさんが望月君に声をかける。

ドアを開けて一歩部屋の外に出たマヒロさんは、「あ……」と呟くと、すぐにまた顔だけこちらに出した。


「サキぃ~。今朝、勝手に帰ってんじゃねぇよ」


「ぶはっ……」


本日四回目の吹きこぼし。