「すみません。お風呂まで借りちゃって……」


パジャマ代わりに借りたマヒロさんのスウェットはぶかぶかで、ほんのりマヒロさんの香りがした。

なんだろ……。

またドキドキして胸の奥がくすぐったい。



「はい。どーぞ」


マヒロさんはニヤニヤ笑いながら、パンパンとベッドの布団を叩く。

自分は既に布団の中に入った状態だ。


「あ……あたし、いいですよぉ。床で寝ますし」


「風邪ひくだろ。別になんもしねーよ、こっちこいよ」


うう……。

そんなこと言われたって……と、たじろぐあたし。


「それとも、ヤラしいことして欲しい?」


「なっ……何言ってんですか!」


頭から湯気が出そうなぐらい顔が真っ赤になっているのは、きっとお風呂上りのせいだけじゃない。


「冗談だっつの。なんもしねーよ。前もそうだっただろ?」



確かに……。

以前泊まった時も一緒のお布団に入ったのに、マヒロさんは指一本あたしに触れなかった。

軽そうな人だけど、きっと無理やりどうこうする人じゃないっていうのは、あたしも知ってる。



「じゃ……お邪魔します」


あたしはおずおずと布団の中に入った。


「電気消すぞ」


マヒロさんは枕元にあったリモコンで部屋の電気を消した。


真っ暗な部屋。

だけどだんだん目が慣れてきて、隣で寝ているマヒロさんのシルエットが見えてきた。


と同時にマヒロさんの体が動き出した。



「きゃッ……」