ma cherie *マシェリ*

「みんなそう言うんだよなぁ……。うちの大学にさ、オレの勉強したかった分野のスペシャリストの教授がいた……っつうのが一番の理由かな」


マヒロさんは大学で勉強していることをほんの少し説明してくれた。

なんだか難しくてあたしにはチンプンカンプンな話だったけど、どうやらマヒロさんが勉強しているのは“ナノテクノロジー”という分野らしい。


正直意外だった……。

大学生ってもっとチャラチャラと合コンばっかして遊んでるイメージだったから。

特にマヒロさんなんてそれの典型的なタイプだとばかり思っていた。

ちゃんと自分の目標を持って勉強してるんだ……。

意外と真面目なんだな……って、見直しちゃう。


「まぁ。親元離れたかったっつうのもあるけどね。一人暮らししねぇと女連れ込めないじゃん」


飄々とそんなことを口にしながら、マヒロさんは最後のチョコを口に入れた。

前言撤回……。

やっぱ、マヒロさんて女好きで軽い人なんだ。


「そういうサキは? パティシエ目指すならそれこそ東京とかの方が良かったんじゃねぇの?」


「あたしは……」