<<Recipe2>>



「……なんでこれが、こんなとこにあるんだろう……?」



仕事を終え、家に帰って脱いだダッフルコート。

そのフードの中に入っていたものを手にしたあたしは……

その場で呆然と立ちすくんでいた。



「どした?」


そんなあたしに声をかけてきたのは、ルームメイトのアイちゃん。


「何それ? ひょっとしてバレンタインのチョコ?」


「うん……」


あたしはさっき脱いだばかりのコートの袖にまた手を通した。


「行かなきゃ」


「へ? ちょ……こんな時間から、どこ行くの? サキっ……」



アイちゃんの言葉はバタンと閉じたドア越しに小さく消えた。


――行かなきゃ。


あたしはチラチラと舞い散る雪の中を走り出した。


彼のもとへ。