ma cherie *マシェリ*


「へ?」


「アパートの鍵、持ってんの?」


「え? ああああ! そうだ! 鞄の中に入ったままだ!」


と一瞬焦ってしまったけど。



「あ、でも大丈夫。アイちゃんがいる……し」


そう言いながら思い出した。



「ああああああああ!」



ニヤリと笑ったマヒロさんが、またあたしの顔を覗き込んできた。


「アイちゃんなら、今頃沖縄でバカンスを楽しんでると思うよ?」



そうだった!


アイちゃん、今旅行中なんだった。


ど、どうしよう……。


ということは、つまりあのアパートには入れないわけで……。


お金もないあたしは、いったい……。




「ど、どうすればいいんでしょうか?」