翌朝お父さんはありえないぐらい早起きしたらしい。


結局あたし達と顔を合わすこともなく仕事に行ってしまった。


そのことにちょっとホッとしたりして。




朝食を済ませてから、あたしはマヒロさんを見送りに駅まで行った。


「あと、3日ぐらいこっちにいんだろ?」


ホームで電車を待っている時、マヒロさんがそう聞いてきた。


「うん」


って答えたものの、なんだか寂しい。


あと3日、マヒロさんに会えないんだもんなぁ。



そう思ってぼんやりとマヒロさんの顔を見つめていたら。


チュってキスをされた。


「なっ」


周りの視線が気になったあたしは、慌ててキョロキョロと視線を動かす。


幸い誰も気づいてなかったみたいだけど。



「もー。なんでこんなとこでするのよー!」


って文句を言っても、あっけらかんと答える。


「ダメだった? だって、チューしたそうだったじゃん」



「なっ……。別にそういうつもりで見てたわけじゃないっ!」


ツンとそっぽを向いた時、電車がホームに入ってくるアナウンスが流れた。