ma cherie *マシェリ*


「誰かが厳しくすべきだって思った。
甘やかされて育てば、いつか親元を離れた時に、苦労をするのはサキだからね」



そうだったんだ……。

だからいつもあんなに厳しかったのか。

そんなお父さんの気持ちなんて、あたし全然知らなかった。



「それなのに、誰に似たのか、のんびりした子に育ってしまってね。
ほんというと心配してるんだよ。
あんなんでちゃんと仕事ができているのかと」


「まぁ……たしかにマイペースなとこありますね」


そう答えるマヒロさんは楽しそうに話続ける。


「なんかちょっと頼りなげで。
大丈夫かなぁ……って周りにそう思わせる雰囲気も持ってます。

だけど……」