気が付くとオレは思わず声を上げていた。


「flocon de neige(フロコン・ドゥ・ネージュ)。そのチョコレートの名前。雪の結晶って意味やねんよ」


「雪の結晶……」


オレはまだ口の中に広がる香りを楽しみながら、ポツリとつぶやいた。


サキはオレの感想がよっぽどうれしかったのか、ほんの少し目を潤ませてただじっとオレの顔を見つめていた。


ユミコさんの説明がまだ続いた。


「ホワイトチョコレートにサクランボの種で作ったお酒を効かせてあるねん」


「へぇ……。大人の味っすよね。かなり酒が効いてる」


正直意外だった。

サキがこんな大人っぽいイメージのチョコレートを作り出したことが。