まるで宗教画みたいだなぁ……なんてふいに妙なことを考えた。

キッチンの照明の加減のせいなのか、サキの顔の周りを黄金色の光が縁取って輝いているように見えた。


化粧っけなんてまるでない。

髪もいつも一つにまとめてある。

香水もつけていなければ、もちろんネイルなんて彼女には程遠い話だろう。


オレの知ってる女は、みんなふわふわさせた髪をこれみよがしに揺らして、むせ返るほどの香水を纏って男を誘う。

そして長く伸びた爪とキレイに手入れされた指でオレの体をなぞる。

そんな姿を“可愛いな”ってオレはいつも思ってた。



だけど今、目の前にいるサキの横顔は、そのどんな女よりも魅力的で美しかった。

何かに一生懸命打ち込んでる女ってのは、こんなにキレイなのか。


――舐めてみたいな。

彼女の体は、彼女が作るお菓子みたいに甘い味がするんじゃないか……なんて。

汗ばんだ細い首筋を見て、ふとそんな、よからぬ妄想までしてしまう。