「気づいたら頭の中、マヒロさんでいっぱいになってて……。仕事も手につかないぐらい目で追ってしまったり……。でも、こういうのダメだって思ってて……ずっと考えないようにしてて……。頑張ってマヒロさんの方見ないようにしたり……」



「え……? ひょっとして、それでわざとオレと目が合ってもそらしたりしてた?」


サキは何も言わずコクンと頷く。


「なんだよ、それ。何でそこまで……」


「だって……」


サキはまだ肩をヒクヒク揺らしながら、真っ赤な目でオレを見上げる。


「嫌われるかな……って思ってて……」


「は? 何でオレが嫌うの?」


わからない。

さっきからサキの言ってる意味がさっぱりわからない。

これが女心ってやつなら、オレは一生かかっても理解できないかもしれない。


「だって……あんなに好きだった佐伯さんのことなんてすっかり忘れちゃってて。気がつくとマヒロさんのことばっかり考えちゃうんだもん。そんな自分が嫌で……認めたくなくて。こんな気持ち、マヒロさんに知られるのが怖かったんだもん」


オレはただ黙ってサキの言葉を聞いていた。

えーと……。

これってつまりそういうことだよな。

今オレ、大告白受けてんじゃねぇの?

こいつ、それわかって言ってんのかな……?


「あのさ……。ゆーっくり考えてみ?」


オレは小さな子供を諭すように優しく言った。


「なんでそんな風に思うんだよ?」


サキは顔を上げてじっとオレの目を見つめる。

眉間に皺を寄せて、考え込むような表情をして……


それからポツリと呟いた。