って、ナニがあああああああ!

違うだろっ、オレ!


とか考えているうちに、アイちゃんの顔がさらに近づいてきた。


もう、キスされそうだ。

マジでヤバいって。


「おい。ヤメろって!」


最後の悪あがきで、そう叫んだ瞬間、玄関ドアの開く音がした。



「ただいまー」


サキだ。


サキが帰ってきた。


そう思って、入り口の方へ視線だけ向けた瞬間。

何かが床に落ちる音が聞こえた。

おそらく買ってきたコーヒーの入った袋を落としたのだろう。


サキがこちらを見て突っ立っていた。


「サキ……?」


相変わらずアイちゃんに組み敷かれたままのオレ。

そんなオレを見つめるサキの顔は真っ青だった。


その目はみるみるうちに水分を含んでいく。


「何やってんの?」