しばらくポカンとしていた望月が「プッ……」と吹き出した。


「すげー自信。やっとマヒロ君らしくなったな。けど、フラれるかもよ?」


「わかってる。けど、サキのこと、困らせるぐらいはできんじゃね?」


これはうぬぼれかもしれないけど。

なんとなくそう思うんだ。


面と向って告白したら、サキはどんな顔するだろう。


きっと王子を選ぶんだとは思う。

だけど、ちょっとぐらいは悩むだろ?

その悩んでる間中ずっとオレのこと考えてしまうようにしてやる。

サキの頭ン中、オレでいっぱいにしてやるんだ。


そんな風に考えてまた歩き出した瞬間……


「あ……!」


小窓から漏れたサキの叫び声が廊下に響いた。


「忘れてた! コーヒー切らしてるんだった。買ってくるね」


そんな声がしたかと思ったら、ガチャガチャと玄関の鍵を開ける音がする。


やばっ!

サキが出てくる。


「やべぇ……」


オレは望月の腕を掴んで走り出そうとした。

だけど、それと同時に背後から声をかけられた。


「マヒロさん……? え? なんで? どうしたんですか?」


その声に振り返ると、呆然とオレ達を見ているサキと目が合った。





――最悪。