「マヒロさん……?」


サキは目をパチパチさせて、不思議そうにオレを見上げる。


「それだけかよ?」


サキの手首を握り締める手にさらに力がこもる。


「なんかないわけ?」


「え……?」


「だから! オレ今から合コン行くんだけど。オレに何か言いたい事とかない?」


「え? 言いたいことですか? マヒロさんに?」


「そ。よーく考えてみ?」


そうだ。

よく考えてみろって。

オレのことどう思ってんだよ。

好きなのか?

それとも……。


オレは固唾をのんでサキの返事を待つ。


しばらく考え込んでいたサキはハッと表情を変えるとオレの目を見つめた。


「マヒロさん……」


「なに……?」



「ダメ……」