カードキーで最後の扉を開けると、そこは地上に繋がる長い地下道だった。


 裕太と寄り添うようにして、ふらつきながら歩き続けた。


 もし、今敵に襲われたらわたしたちは死ぬだろう。


 それくらいに二人とも衰弱していた。


 薄暗い地下道に、足音と息遣いだけが響き渡る。


 出口など本当にあるのだろうか……。



「もう少しだよ、萌。行けるか?」


 意識が遠退きそうになるわたしに、裕太が励ましの言葉を口にする。


 彼はどうしてこんなに強いんだろう。


 この監禁生活で、見た目も中身も大きく変わったような気がする。


 わたしのかけがえのない、大切な人……。


 もし裕太がいなかったら、ここまで来られなかっただろう。



「ハァ……。水が飲みたい」


 激しい喉の渇きを覚えたわたしは、汗を流しながら訴えた。


 次の瞬間、強い力で抱きしめられ、裕太に唇を塞がれていた。


 わたしたちは抱き合ったまま、しばらく貪るようなキスをかわした。



 ……生きてる。


 生きると言うことがどんなことか、初めて身を持って知ったような気がした。


 人間は、独りでは生きられない。


 孤独なイシザキの背中が脳裏に浮かんだ……。



「萌、見ろ。光だ! 光が射し込んでる」


 裕太の興奮気味な声と、彼の熱い背中を頬に受けながら、わたしは朦朧とした意識の中で出口にたどり着いたことを知った。



 生き残ったんだね……わたしたち。


 ありがとう、裕太。


 そして、アレックス……。