一ページ目……可愛らしい丸文字で文章が綴られていた。



【ご主人様から日記を書くように言われたけど、何を書いていいのか……。
私の名前はジャスミン。本名は違うけど、忘れろって言われた。
ご主人様は七福神という名前だけど、本名は知らない。私を気遣ってくれる優しい方。
私の祖父は意地悪な人だったから、優しいおじいちゃんが出来たみたいで嬉しい】



 本心かどうか分からないけど、戸惑いながらも希望の光を見出だそうとしている感じを受けた。


 確かに七福神は、優しいおじいちゃんと言う印象だ。


 ……今のところは。



【今日から家庭教師が来ることになった。
スクールの教師をしていると言う白川先生だ。
ご主人様の古くからの知り合いらしく、信頼できるから呼んだらしい。
白川先生はすごく真面目で、厳しいけど良い先生だと思う。
数学が苦手だと言ったら、一緒に克服しましょうと穏やかに笑ってくれた】



 白川……その名前を聞いて、わたしは最後に見た彼の表情を思い出した。


 軽蔑と疑いを含んだ冷徹そうな眼差しも。


 あんな歪んで裏がありそうな人間が、良い先生のはずがない。


 わたしは日記帳をさらにめくった。


 白川がスパルタで、テストの結果が悪いと鞭で打たれたり、罰として食事を与えられないことなどが書かれていた。


 最初こそ温和だった白川が鬼教師となり、少女を虐めていた事実が赤裸々に記されている。


 それは全て、七福神の差し金だったと少女は日記帳の半ばで気づいた……。


 しかし、どうすることも出来ず、白川による虐待はエスカレートしていった。


 最後のページには、文章のところどころに血が滲んだ跡が残っていた。


 少女は果たしてどうなったのだろうか……?