「私、おねーさんがお日様って言ってくれて凄く嬉しかったです。

玄斗君はいつも那都君を
お日様みたいって言っていて。

凄く大切にしてくれてるのが
わかります。
私は那都君が好きです。
那都君を大事にしてくれる玄斗君には
感謝の気持ちしかありません。
だから、何もおねーさんが
私に思うことなんか、ないんです。


よろしければ、
友達になってほしいですけどっ。

ね、那都君。」



「はいっ。」


元気よく返事をした那都君は
えみりちゃんが言葉尻を言う
直前に我慢できず抱きついていた。


ぎゅうぎゅうと音のしそうなほどの
抱擁にえみりちゃんは
恥ずかしそうにしつつも
那都君を愛しそうに見つめ
されるがまま
受け入れていた。


何もおねーさんが思うことなんか、
ないんです。



頭の中でリピートされた
えみりちゃんの言葉は
私の中のぐちゃくちゃした感情を
じんわりと溶かしていった。

くろにとってのお日様は那都君かもしれなくとも私にとってのお日様はやはりえみりちゃんだと強く思うのだった。



だから、よろしければなんて、
要らないのに。

「友達になりたいのは、
私の方です。
こんな勝手なおばさんでよろしければ
これからよろしくお願いします。」

くろを引き剥がしてお辞儀をした。

するとえみりちゃんが小さく、
はっきり頷いたのがわかり、
胸にくろの時とはまた違う
温かさが広がり心を満たした。


二人でほかほかしていると
那都君がまたしても堪えられずに
動き出す。



「はい、今度はえみり先輩と
イチャイチャしない!

玄斗。
また作りにくるから。

今日はゆっくり話し合いなよ?

で、痴話喧嘩に巻き込まないこと。

えみり先輩。」

くろに人差し指を何回も指しながら
自分の言いたいことを言い切ると
左手をさっと横に差し出す。
すると、おずおずと
えみりちゃんの手がそこに繋がれた。


それに堪らないといった様子で
首を横にぶんぶん振り回す
那都君。


可愛い。


思わず笑みが、こぼれると
くろが「ダメ」と少し不機嫌になる。


...何故。

首を傾げていると
いつの間にか玄関口から
「「お邪魔しましたー。」」
と二人の声が聞こえた。


そちらにまた気をとられていると、
今度は「ヤダ」とくろが不機嫌になった。






...........何故。