くろは驚いた顔をして、

「年上だったんだね、わからなかった。」

そう言って感心したように私をじろじろみた。

もういたたまれなくなってマフラーに顔を埋めると、マフラーをズッと下げられた。


「大丈夫。
もう驚いてないよ。顔見せて?」

と言うことはやっぱりひいたのか。

「帰ります。」


「え、駄目!」


立ち上がろうとする私をそう言って思いきり引っ張った。

そうして腕に閉じこめたかと思うと
「驚いたのは年じゃない。
最初僕を遠目から見てたとき!
今はもう友達でしょ?」

え、この距離は友達にするだろうか。
凄くモヤモヤしている自分。

だけど「友達」という響きに心が浮き足立っているのも事実で。


私はくろのいった言葉を繰り返すことしか出来なかった。


「友達......。」


「そう、友達。
新しいタイプの、お友達。駄目?
それともやっぱりストーカーさ......「それは違う!違います......。」


くろが言おうとした恐ろしい単語を遮って首を横に振ると、またくろは静かに笑った。


その笑顔は私を捕まえて離さない。

どんなに否定しようと思ったって無理なのだ。
こんなにドキドキするのは何年ぶりだろう。
思えば彼との日々に安定や安心を感じることがいつからか増えていた。
ときめきを感じたのはいつが最後か最早思い出せない。


それはもう私が大人になったからだと思っていたのに。


くろは私をいつもドキドキさせる。


くろの腕のなかで私は完全なる白旗をあげたのだった。