「あ、ねぇ見て?」
未だ語り続ける王子に、そう声をかぶせて空に向かって指をさす。
夕日が沈んで、もう夜になる直前の空は濃色をしていて。
「!? これは祈るべき!? それとも写真に収めて待ち受けに!?
いや待ち受けはだめだ!どうしよう、どうすればいいんだ!!」
皆の前では見せない慌てぶりを披露する王子に
後ろから勢いよく抱きつく。
「大好き」
耳元でそう言って、逃げるように離れた。
そっと伺うと、濃色に染まった世界で王子の顔だけが赤くて。
ううん、同じ濃色でも王子の持ち物だけは特別な濃色だった。
「私だって妬いたりするんだからねー!!!!」
空に向かって叫ぶ。
「俺にはお前だけだ、ばーか!!!!」
隣に並んだ王子も、空に向かって叫んだ。
好き、大好き。


