突然視界に入ってきた紫色に驚いて、泣くことも忘れ、固まる。
しかも、その紫色は、王子の好きな濃色とかいう紫色だ。
「そろそろ脱水症状になるんじゃない? お姫様。」
そう言って差し出されたのはグレープジュースで。
「紫、だ…。」
笑いがこみ上げてきて、それを受け取りながら笑う。
「泣いたり笑ったり、忙しい奴だな」
ポケットから出てきた濃色のハンカチで、涙を拭われる。
「だって、まさか飲み物まで紫…」
「ばぁか。 いいか、この飲み物は紫。でも、このハンカチは濃色だ。
濃色というのはな、昔から一番高貴な色で……。」
私の飲むペットボトルと自分の左手で持ったハンカチを
交互に示すのがまた可笑しくて
吹き出しそうになるのを慌てて抑える。
この人が好きだぁ。幸せだ、すごく。
こんなに好きになれる人、二度と会える気がしない。


