なんでこんなに可愛くなれないんだろう。
満足に妬くこともできないし、寂しがることもできない。
ああ、もう。
こんな簡単に泣くなんて、私らしくない。
袖で乱暴にぬぐって、走り出す。
こんな時に限ってなにもないところで転んで、
また涙が止まらなくなる。
だけど気がつけば、もうだいぶ学校から離れたところ。
それに運の良いことに、人通りの少ない路地裏。
もう、泣かないように。
全てを出し切るように、声をあげて我慢せずに泣いた。
泣いて泣いて泣いて。 その泣き声も枯れてくる。
なんで泣いているか、明確な理由なんて分からないけれど。
……とりあえず、王子が関わっているのは確かだ。
「ぐすっ……あの…………くそ王子………!! うわああああん!」
「僕の悪口をいうのは勝手だけど」


