そんな……何で? 

 やっぱりウチのこと、好きじゃなかったのかな………


 『黙ってたけど、好きな女がいるんだ。だから、終わりにしたい』


 急に電話があって、そんなこと言われて……






 おしまい?

 好きな人って―――――




 考えなくったって、すぐ分かるよ。

 いつもいつも、たくさんの女の子と喋って、家にもよく連れて帰って。

 みんなにはウチにしたのと、同じようなコトしてるんだよね?




 ミッキーしかいない。








 「今から会える?」


 寿クンとつき合う前、学校を早退した日、

 寿クンから電話があった。


 「今日はちょっと……」


 人と……特に寿クンとは会えるような気分じゃないよ。


 「電話で言うようなことじゃねぇんだけど」

 「どんなこと?」

 「俺のマジな気持ち、まだ伝えてなかったから」

 「分かってるよ」

 「勘違いしてるはずだ」

 「どんな風に?」

 「俺、LA戻んなきゃなんねぇし、高校卒業したら多分、
 即婚約することになる。そしたら別れなきゃなんねぇじゃん?
 奈々ちゃんのこと特別って言った意味、分かるよな?」


 いっぺんにいろんなこと言われて、頭がちょっと混乱する。


 「え~とあの、それって……」

 「特別、なんだよ。でもマジな恋愛とかできないから」

 「ミッキーは……」

 「奈々ちゃんは友だちの彼氏盗ろうとするような女じゃねぇよな?」


 ウチの近くにいたかったから、なんて寿クンは言わなかった。