private lover / another view

 「邪魔かと思った」

 「ホッシーのこと待ってたのに、邪魔なんて思わないよ」


 確かにそうだと思ったが、それは口に出さなかった。


 「ここにいたら警察とか来ちゃうから、どこか行こう?」

 「そうだな」


 とは言っても行く場所などはなく、新山を家に連れて帰ることにする。

 両親が二人とも働きに行ってるし、妹は学校だ。




 リビングに新山を通した俺は冷蔵庫から冷えた

 ウーロン茶を出して準備した。

 滅多に来客がないから、お茶菓子なんて洒落たものはこの家にない。



 「……」



 新山が、リビングで泣いていた。

 俺の動揺がグラスに伝わり、チリンと氷がタンブラーに当たる。

 「ミッキーに、言っちゃったんだ……」

 「なっ何を……」


 唐突すぎて、俺は突発的に定型句を返した。



 「ほっといてって、朝、強く言っちゃったの」



 話しが飲み込めず、俺はひとまずトレーを

 テーブルに置いて新山の正面に座る。


 「ミッキーのせいじゃないのに……」



 ドクッと身体に、鈍い衝撃が走った。



 「岡崎のせいだろ? 新山を置いて彩並のところに行かなければ、
 こんなことにはならなかった」


 どうして新山があんなことを言ったのか理解できなくて、

 俺は認識した事実を言葉軽く提示した。

 新山はゆっくり、でも確かに首を横に振る。


 「寿クンは、前からね……ウチのこと……
 好きじゃなかったと思う……」


 うつむいて、何度も何度もその指で涙を

 払いながら、新山はそう言った。


 「お弁当……あんまり食べてくれなかったの…………
 すごい気を遣ってくれたの………ウチにだけ……みんなと違くしてくれて」