握られた手





トキドキ止まらない





「ねえ、末永?」




そう話しかけても歩き続ける末永





私はぱたっと立ち止まり末永の足を止めた





「ストップ!」





そう叫ぶと末永は振り向く
また不機嫌な顔




「なに?」




そんな一言だけ





「何って、この手!しかも彼氏って…」





だんだん小さくなる私の声
末永は呆れたような顔をし、ため息をついた




「恋人ごっこ…だろ?」




そう私をまっすぐ見る末永





私は思わず笑ってしまう





「なんだ。末永も乗り気だったんだ。恋人ごっこ」




そう笑うと末永は私のおでこにデコピンをした




「うるさい。黙って食え。ほらよ」




そう言ってクレープを手渡す
私は近くにあったベンチに座る






もったいないから手は離したくなくて、どう食べようか迷っていると末永は笑った




「片手じゃ食べれねえだろ?て、離せよ」





そんな言葉に私は目を逸らす