外に出て近くのコンビニでてきとうにデザート類を買った
お互い無言の俺ら
当然だ
俺はこいつが好きじゃない
結愛の元彼なんて仲良くできるわけがない
できれば関わりたくない
マンションに入る前、男は立ち止まり振り返る
「お前、結愛のこと好きなん??」
そんな問いに俺は目を反らす
「お前には関係ない」
そう答えると相手は真剣な表情になる
「関係ある。」
「なんで」
「俺は結愛のことが好きだから。」
そんな言葉に俺はつい手が出てしまう
気づけば男の胸ぐらを掴んでいた
「てめえ、何なんだよ今更!!あいつが一番つらいときにお前は何やってたんだよ!!今更戻ってきてやっぱ好きってなんだよそれ…」
そんな言葉に男は何も言わない
「俺がもっと早くあいつと出会ってたらあんな思いさせなかった。あいつを見殺しになんてしなかった。」
男は俺の手を払いため息をついた
そして空を見上げた
「その通りだよ。今更だよな。でも自分の気持ちは抑えられない。でも結愛には好きな人がいるらしい。あっさり振られたよ」
寂しげに笑う男
「昨日、俺が無理矢理キスをした。そしたら思いっきりビンタされたよ。で、あいつずっと泣いてた。こういうことはもう好きな人としかしないって決めてたのにって。そのあと一言も話してくれなかった。」
今初めて知った事実に俺は何とも言えない気持ちになる
「あの記事はほとんど嘘だよ。マスコミは嘘とかほんととかそんなのどうでもいいんだ。ただ面白おかしく書いてみんなの興味を引き付ける。そんなマスコミの記事なんて信じるな。
お前が結愛を信じてあげられなくてどうする。」
「俺は結愛の邪魔をするつもりはない。結愛の気持ちを応援しようと思う。ただ、今日みたいに結愛を傷つけるようなことをするなら俺は許さない。
その時はお前には渡さない。
どんな手を使ってでも結愛を奪うよ」
俺は男に背を向けて大きく息を吸い込む
「渡さねえよ。あいつは俺のもんだから」
俺はそれだけ言いマンションの中へ入って行った

