まだ人間らしい自分がそこには存在した。
それが嫌だ。
途方に暮れるほど嫌で嫌で仕方がない。
生きているのが恐い。
私は自己嫌悪を止めない。
唯一許された快楽。
それは只の自虐。
だから私はそれを行う。
そうすることで私が許されるなら。
許されたい。
思う。
だが、私はそれを認めない。
それは許される罪ではない。
貴方の罪は生きること。
貴方の罪は死ぬこと。
ならば、ならば…私はどうしたらいい。
ただひとつの真実を、彼を愛しているという真実を追い続けた結果がこれだ。
罪は私にはない。
だが罰は私にある。
ならば、結局、罪人は私で咎人は私なのだ。
罰はどこまでも続く苦痛。

ああ…痛い

嘆く。
ただ嘆く。

私の罪は許されない。

宿の中はひんやりしていた。
歩く度に床が悲鳴をあげる。
苦痛を訴える。

なんだ、結局私は苦痛を与える事しか出来ないのか。

部屋のドアはギィギィと叫ぶ。
開けないでと言う彼の意見を聞き入れず、中に入る。

窓から光が入り、床を赤く染めた。
日が傾きかけている。
今日が終わり、また苦痛の日々を繰り返す。
病んでいたのは闇か、私の心か。

薄汚れたベッドに腰掛け、窓の外を見る。