「あるときは国をまもるために、あるときは国民を守るために…私は国中を回った。だが、私に任された任務は全てが殺す事だった…」
自嘲ぎみに笑う。
何を話しているんだ…私は…。
そう思い、私は話すのを止めた。
「いや、何でもない…忘れてくれ」
「いいえ、聞かせてください」
私の目を真っ正面から見据え、ジャックは言った。
「…」
いや、言いたくない…今は…まだ…。
「いや、いいんだ…」
私は視線を火に落とした。

ああ…あのときも燃えていたな…。

私は自分の家が燃える姿を思い出していた。
血で濡れたナイフに映る紅い炎。
私はアレ以上に紅いモノを知らない。
胸が締め付けられた気がした。
「話して下さい…貴女の話を…」
彼の言葉に視線を上げた。
「…あれは、もう10年も前の話だ…」
私が見てきた過去が開いた。