私の住んでいた王国が滅びたのは三年前。

騎士でありながらも忠義はなかった。
だから結局、どうでもよかったのだ。その国の有無など。
私があの国を護りたかったのは最愛のひとがいたから。
ただそれだけの理由。
彼を失ってしまった今などあの国が存在した価値すら見出だせない。
だから私はひとり、知らない町の大通りを歩いている。
埃にまみれた乾いた風が吹く。

だが何一つ気にならない。
誰も私を見ないから。
見てほしいひとがいないから。

ひとり町中を歩く。
木造の家々が列なり、今にも崩れそうな形状をギリギリの所で保っていた。

ただひたすらダルい。体が重くて仕方がない。
私は早々に宿を見つけて入った。
金はある。
いくらでもある。
使えきれないほどに。
何かに使う理由も無い。欲しいものは皆無。同じように生きている理由も皆無。
持っている槍が枷のように重い。
所詮はカルマ。
業の重さでしかない。
奪ったもののぶんだけ重いだけ。重いと感じるだけ。
まだ自分に人間的な業が残っていた事を知る。
だが意味はない。
例えあったとしても意義がない。
所詮は私程度。
人として認めて貰えないのには慣れた。
だがそれでもなお心が痛い。