「やめよやめ。下らない」
千波はそういうとパッと十円玉から手を離し、「アイス」と言って太一の首もとを掴み引き摺っていく。
「ちょっ、千夏!!
あ、透!ありがとなー!!」
千波にずるずる引き摺られる太一の去り際のその一言さえ、
今はどうでも良かった。
「……あんた、何…」
『あっ、人間さん行っちゃいまし………………た!!??』
"た"ってなんだ。
『あ、ああああなた、ゆゆ、幽霊……?』
いきなり声をかけたせいか、何がなんだかわからないという顔で聞いてきたのでとりあえず
「な訳ないだろ」
と即座にツッこむ。
『え……、
えぇーーーー!?』
人を驚かせる筈の幽霊の逆に驚いた声を聞いたのは、
きっと俺ぐらいじゃないかと、頭の片隅でそんなことを思った。

