コイスルハナビラ SAKURA


「……あら?」

そのとき、従業員さんの1人が、麻紀ちゃんの姿を見て声を上げた。


「麻紀ちゃんじゃない?」

「はい! お久しぶりです! また、今年もよろしくお願いしますね!」


そう言って、麻紀ちゃんは微笑みを見せる。


「久しぶりね!」

「長旅、大変だったでしょ」

「お隣りが、お友達の方?」


瞬く間に、紫陽花色に囲まれるあたしたち。

歓迎の嵐が舞う中、麻紀ちゃんはその1人1人に笑顔で挨拶を返していた。