コイスルハナビラ SAKURA


「行こっか!」

「うん!」


あたしたちは、大きなガラスの扉を開いた。

入り口は、吹き抜けの広いホールになっていて、そこにはソファーやテーブル、テレビが置かれている。


旅館じゃなくて、ホテルって名前でも良さそうね……


あたしは、そんなことを思いながら、一歩中に踏み入れた。


その瞬間━━━


「いらっしゃいませー!」

「ようこそ、おいで下さいましたー!」


朝露を浴びて輝く紫陽花(あじさい)のような、綺麗な紫色の着物を着た人たちが次々に現れる。

そして、あたしたちにお出迎えの言葉をかけてくれた。

その様子はとても爽やかで、とても気持ちが良いものだったんだ。