「……それで、麻紀ちゃんたらヒドいんですよ~。この前なんか……」
「わーっ! さくら、それは言わないでーっ!!」
「あはははははは!」
車内に、3人の楽しそうな笑い声が響き渡る。
あたしと叔父さんは、いつの間にかすっかり打ち解けていた。
様々な会話と共に、車は叔父さんの旅館を目指して進んでいく。
国道を外れ、上り坂が多くなってきた道。
山の中を進んでいる証拠だ。
道路脇には、ようやく芽吹いてきた木々が、その喜びを誇るかのように立ち並ぶ。
その木々の間、間にあるレジャー施設の看板。
カラフルだったり、興味を惹かれるキャッチコピーだったりし……
それらは、外観を損なうことなく作られていることに、あたしは感心していた。
「この辺は、ずっと変わらないね……」
流れ行く景色を眺めながら、麻紀ちゃんは言う。
「信号が出来たり、道が綺麗になったりはしてるけど……それ以外はそうだな。木々も山も変わらない」
「ずっと、このままでいてほしいな……」
窓の外を眺めながら、麻紀ちゃんはしみじみ言った。