それから何時間かして……

ようやく新幹線は目的の街へと到着した。

ホームに降りたあたしは、故郷から遠く離れた街に来たということを、今更ながら強く実感した。


目に入る風景、街並みが違うのは当たり前だけど……

空気とか……

においとか……


上手く言えないけど、感覚的に違いを感じたんだ。


駅の階段を降りていくと、そこにはロータリーがあって、何台も車が停まっていた。


たぶん、この車はみんな駅から出てくる人を待っているんだろうな……

帰るところがあるって……いいよね……


な~んて、長旅からか少しセンチメンタルな気持ちになってるあたしが、ここにいた。


「おーい、麻紀ーっ!」


その時、ロータリーに停車していたワンボックスから、1人の中年男性が降りてきて麻紀ちゃんに手を振った。


「叔父さん!」


麻紀ちゃんも名前を呼んで走り出す。

あたしも、重いバッグを引きずるようにして、その後を追いかけた。