「さくら、急いでっ!!」


麻紀ちゃんが声を張り上げる。


「う、うんっ!」


あたしは短く返事をしながら、駅の階段を駆け上がった。

その両手には、それぞれバッグが握られている。

このバッグが、なかなかくせ者なんだ。

5日分の着替えとか、生活に必要な物が入ってるバッグは結構な重さになっている。

か弱いあたしは、腕が千切れるんじゃないかと思うくらいだったんだ。


「ま……麻紀ちゃん……早い……」


麻紀ちゃんも、あたしと同じくらいのバッグを持っているのに、何故か麻紀ちゃんとの差がどんどん開いていく。


「じ……実家が……お米屋さん……だから……かな……」