コイスルハナビラ SAKURA

沈黙が支配する部屋。

時計の音と、小鳥たちの声だけが聞こえている。



━━━その時。



「……そうだっ!」


不意に、その沈黙を麻紀ちゃんが破った。


「ねえっ! さくらって、今日から5日間空いてる?」


麻紀ちゃんはあたしの両手を取り、自分の胸まで引き上げた。


「う……うん、空いてるけど……?」


あたしは、そんな麻紀ちゃんに戸惑いを隠せない。


「そっか!」


戸惑うあたしをそのままに、麻紀ちゃんは上着のポケットから携帯を取り出した。

白いスリムなそのデザインは、麻紀ちゃんに良く似合っている。

麻紀ちゃんは、2つ折りにされた携帯を開くと、あたしの目の前でどこかへ電話をかけはじめた。