でも━━━


「あ……あれ？」


不意に、あたしの眼から一筋の涙が流れ落ちた。


「あれ？ あれ？ おかしいな……」


あたしは、慌てて涙を拭う。


「違う……こんなの……あたしじゃないよね」


涙を拭いながら、あたしは無理やり笑顔を作ろうとした。


「ちょっと待ってね、今すぐに……」

「さくら……」


麻紀ちゃんは、そんなあたしを見つめながら優しく言った。


「無理しないで……いいんだよ……」


その言葉で、あたしを支えていたモノは粉々に砕け散った。

涙が溢れてくる。


もう、流し尽くしたと思っていたのに……

後から後から、涙が溢れてくる。


でも、この涙は悲しみだけじゃない。

麻紀ちゃんの優しさが、とても温かかったから……


麻紀ちゃんは、そんなあたしをそっと抱きしめてくれた。


細い腕で、強く強く━━━