「さくら……」


麻紀ちゃんは、短くなったあたしの髪にショックを受けているようだった。


「髪……涼介のために伸ばしてたんでしょ……? なのに何で……」


そこまで口にして、麻紀ちゃんはハッと口を押さえた。


「ま……まさか……」

「……うん……涼ちゃんに……振られちゃった」


あたしは笑った。

麻紀ちゃんにこれ以上、心配かけたくなかったから。


「あ、別に気にせんといて! あたしは、全然平気じゃけぇ!」


あたしはしゃべり続ける。


「髪? あ、これは3年生になるし……イメチェンしようかなって!」


麻紀ちゃんに、安心してもらえるように━━━


「涼ちゃんのことだって、幼なじみの延長みたいなものだし……」


自分自身に言い聞かせるために━━━


「だから……全然平気なんよ?」


あたしの、弱い心を隠すために……


「もう……麻紀ちゃん、怖い顔しすぎだよぅ」


あたしは笑った。

悲しみをこらえ、今できる最高の笑顔を麻紀ちゃんに向けて。

あたしは笑ったんだ……