そして……


机の上に、片付け忘れたカッターが、あたしの目に入った。


あたしは、フラフラと立ち上がると、それに向かって歩き出す。

ゆっくりと手を伸ばし、カッターをつかみあげる。

刃先を上に向け、親指に力を入れた。



チキチキチキ……



軽い音を立てて刃が伸びる。

それは、月明かりに冷たく光った。



「さよなら……涼ちゃん……」



あたしの瞳から、一筋の涙がこぼれ落ちる。



ザクッ━━━



鈍い音が、部屋の中に響き渡った。