コイスルハナビラ SAKURA


『「涼ちゃんが、長い髪が好みって言うけぇ」』


麻紀ちゃんに言った言葉がよみがえる。

ちょっと、自慢げにノロケてみたあの言葉。

でも、きっとそれは、あたしに髪を伸ばしてって言ったんじゃない……


橘先輩……


涼ちゃんは、橘先輩の長く綺麗な髪が好きって言っていたんだ……


それなのに、あたしは……

あたしは……あんなにはしゃいで……

あたしは……バカだ……!!


あたしは泣き続けた。

いっそ、この涙であたしの体が溶けてなくなってしまえ! とも思う。


「いや……いやだよぅ……もう、いやだよぅ……」


あたしの声は、闇の中に消えていった。