そして━━━


あたしは、それ以上言葉が出なかった。

ううん、出せなかった……


笑顔が凍り付く。


「な……なんで……」


止まってしまった声を、力を込めて無理やりに絞り出す。

うめくような音が、あたしの喉から漏れた。

涼ちゃんも、あたしの視線の先に気付いたようだった。


「い、いや、さくら、それは……」

「なんで、女物の靴があるん!!」


あたしの視線の先には、女性物の白いパンプスが綺麗に揃えて置いてあった。


「━━━っ!!」

「ちょっ……待てって、さくら!!」


涼ちゃんの制止を振り切り、あたしは中に上がり込んだ。

キッチンを抜け、閉ざされていた奥の部屋の扉に手をかける。

後ろで涼ちゃんが何か叫んでいたけど、今のあたしには何も聞こえなかった。