コイスルハナビラ SAKURA

━━━その時。



ポツッ……



「冷たっ!」


突然、あたしの鼻先に水滴が落ちてきた。


「う~?」


空を見上げるあたし。


ポツッ、ポツッ……


今度は、額に二滴。


「ついに降ってきちゃった……」


見上げた空は、一面グレーになっている。

あたしは素早く自転車をとめると、鞄と買い物袋をつかんで涼ちゃんの部屋に走り出した。