コイスルハナビラ SAKURA

電話前に感じていた孤独な想いはもはやなく、今のあたしの心の中は『涼ちゃんが心配』という想いで支配されていた。


「涼ちゃん……大丈夫かな……」


あたしはゆっくりと立ち上がると、自転車のサドルにまたがった。


「ちゃんと、ご飯食べられるんかな……」


頭の中に、やせ細った涼ちゃんの顔が浮かぶ。


「あ~あ~、涼ちゃんに会いたかったなぁ……」


あたしはペダルに足をかけ、力を入れた。

自転車は、ゆっくりと進み出す。