コイスルハナビラ SAKURA

その夜━━━

あたしは、実家に電話をした。


「ちょうどお母さんも、あなたに電話をしよう思っとったんよ」


お母さんは、そう言って笑っていた。


「電話? どうして?」

「ほら……今日はバイトの最終日でしょ」

「うん……」

「だからってワケじゃないけど……さっき、何気なくあなたの小学校の時のアルバムや文集を見てたんよ。そしたら……ね」


文集……!?


「3年生くらいだと、まだみんな夢があるんよね。将来はプロ野球選手とか、ケーキ屋さんとか、中にはお嫁さんなんて子も……」

「お母さん!」


あたしは、お母さんの言葉をさえぎって声を上げた。